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業績ってどうなんだろう?
こんな疑問を解決できる記事を書きました!
この記事では、現役エンジニアの私が「LINEとヤフーの親会社ZHDの2020年度の決算発表」について解説します。
動画で見たい方はこちらから
それでは見ていきましょう!
ZHDとは
ZHDとは、Zホールディングスの略称になります。
ZHDは次の二つの大企業の親会社です。
・ヤフー
・LINE
LINEがメッセージアプリNo.1の国
日本で普及率が高いLINE。
他の国でも使われていることをご存知でしょうか?
LINEがメッセージアプリとしてNo.1の国は3カ国あります。
・日本
人口:1.26億人
・台湾
人口:2,300万人
・タイ
人口:7,000万人
3つの国で2億人を超える人口になります。
インドネシアでは惜しくもNo.2
インドネシアは人口が2.7億人もいて、まだまだ人口増加を続けています。
メッセージアプリではNo.2になってしまいましたが、金融の分野ではある程度の地位を確立しつつあります。
これから成長する大国での地位を確立できるか!?
今後のZHDの成長カギになりそうです^^
ZHDの強み
ヤフーとLINEを持つZHDの強みとは何になるのでしょう??
注目されている2つの強みについて触れておきます。
モバイルキャリア
モバイルキャリアとはスマホのキャリアのことですね。
ZHDもソフトバンクも親会社はソフトバンクグループ(以下、ソフトバンクG)になります。
※ソフトバンクGは投資会社。ソフトバンクはスマホのキャリア。
ZHDとソフトバンクが一緒にどんなことをやるのか、まだ発表されていませんが、株主たちは注目を集めています。
そして、モバイルキャリアはGAFAMも持っていない領域なので大きな差別化になることが予想されます。
ローカル
ローカルといっても、田舎と言うわけではなく、アジアの国のことを指します。
特に強いのは先程説明した、LINEがメッセージアプリとしてNo.1の3カ国です。
日本、タイ、台湾ではメッセージアプリと連携して次の分野で力を発揮できそうです。
・EC
※Electronic Commerceの略。オンラインショッピングのこと。
・金融
-PAYPAY
決済だけではなく、ローンの金利でも利益を得ている
-LINE Pay
-証券
株取引など
・保険
ZHDの決算内容をチェック
全体の業績
こちらがZHD全体の業績になります。
言葉の説明
難しい横文字が何個か出てきましたね!
一つずつ説明します。
・FY
Fiscal Yearの略。
会計年度のこと。
FY2019は、「2019年度」との理解でOK
・YoY
Year Over Yearの略
前年比のこと。
例)売上のYoYが+10%
→前年よりも10%売上が伸びたということ。
・EBITDA
Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略。
簡単に表すと、「営業利益」と「減価償却費」を足し合わせた指標。
投資を無視した利益のことです。
ZHDは、「EBITDA」をメインの指標に置くと発表しました。
しかし、EBITDAは投資を無視した利益になるので指標としては不十分です。
過剰な投資がわからないデメリットがあります。
ZHDとしては、今後数年間は莫大な投資をするので利益が出ないことを隠したいことが想定されます。
後でお話しますが、実際、中期のビジョンに利益の数字をいれていません。
減価償却費についても簡単に説明しておきます。
・減価償却費
会計上、分割して計上すること。
投資した大金を分割払いするイメージです。
「減価」とは、価値が減ること。
「償却」とは、売るということ。
「減価償却費」とは、価値が下がった分だけ分割払いしようねということです。
■減価償却費の例
・家の購入を例とします。
30年住める家を3,000万円で購入
毎年100万円を30年間支払う
つまり、「毎年、家の価値が下がるのを反映した払い方」
ZHD全体の業績の説明
言葉の意味がわかったところで、もう一度こちらの表をご覧ください。
売上
2019年度:1.05兆円
2020年度:1.2兆円
YoY:+14.5%
2020年度はコロナという不足の事態がありましたが、IT業界とコロナは相性も良く、売上を順調に伸ばしていることがわかります。
続いて、表にはありませんが、営業利益率を計算します。
営業利益率
2020年度:13.5%
この数字だけ見ても、すごいのか?わかりにくいと思います。
次にメーカーとの営業利益率を比較します。
参考 メーカーとの営業利益率を比較
メーカーでは営業利益率が5%以上あれば優秀とされています。
今回の、ZHDの営業利益率が13.5%と考えると、これがどれほど大きな数字かわかっていただけると思います。
IT業界が世界の企業TOP10に何社も君臨している理由は、営業利益率が出しやすいことが大きく関係しています。
三菱電機の決算発表も記事にしていますので、気になる方はこちらから確認してください。
Youtubeで見たい方はこちらから。
ZHD分野別の業績
続いて、「コマース」と「LINE」に分けて見ていきます。
※コマースとは、取引や売買のこと。
コマース
・EC
※EC:Electronic Commerceの略。オンラインショッピングのこと。
まずは、ECの実績から見ていきましょう。
ずっと右肩上がりのECでしたが、コロナ禍で巣篭もり需要が増加したことにより、2020年度はさらに伸びました。
・ECショッピング事業の取扱高
YoY:+45.1%
ただし、ECの国内順位ではZHDは3位となっています。
業界全体が伸びているとはいえ、今後さらなる投資をして伸ばしていく必要があります。
ECの成長戦略は「これからのZHDを分析」で詳しくお話します。
・ECの国内ランキング
1位:楽天
2位:Amazon
3位:ZHD
ZHDには、3つのECショップがあるにも関わらず3位となっています。
■ZHDのECショップ
・Yahoo!ショッピング
・PayPayモール
・ZOZOTOWN
※ヤフーが買収
・PayPay
続いて、PayPayの事業についてみていきましょう。
CMやPayPay祭りなどのイベントで見ることも多いのではないでしょうか?
投資額は莫大になっていますが、おかげで確固たる地位を築いています。
■PayPayの2020年度の実績
・決済回数
YoY:1.6倍
・加盟店数
YoY:1.5倍
・登録者数
YoY:1.4倍
LINE
次にLINEの収益を見ていきます。
注目して欲しいのは営業利益です。
LINE Payの投資でずっと赤字だった利益が、黒字化していることがわかります。
これは、ヤフーとの共同で、QRコード決済の王者であるPayPayと戦わなくて良くなったことが大きな要因です。
売上もYoY+16%と大きく伸ばしています。
ZHDの中期の展望
ZHDの中期目標をみていきましょう。
ZHDは、2023年度を目標として、投資を進めています。
これは、LINEとヤフーが一緒になって、うまくソリューションを組み合わせることができるまで数年かかることを意味します。
2つの大企業が一緒になって、すぐにうまくいくのが難しいことは想像できるかと思います。
このグラフを見ると、営業利益の目標がないことがわかります。
莫大な投資をしていくので、利益が出ないことを意味していますが、投資家は納得しないでしょう。
実際に決算発表後、株価は急落しています。(笑)
戦略としては間違っていないと思いますが、株主を気にしなければならない経営の難しさがわかります。
成長方針
次の図から分かる通り、LINE、ヤフー、PayPayを組み合わせて、勝っていこうという意思表示です。
LINEを取り込んだことにより、国内では圧倒的の利用者数になっています。
・ヤフー
月間利用者数:6,700万人
・LINE
月間利用者数:8,800万人
・PayPay
登録者数:3,800万人
図を見ると、「メディア事業」「コマース事業」「戦略事業」を伸ばしていくことがわかります。
「コマース事業」と「戦略事業」について詳しく見ていきます。
・コマース事業
韓国のEC大手のクーパンと共同することを発表しました。
クーパンの株をソフトバンクGが37%保有しています。
韓国という国土の狭い国でNo.1の地位を確立しているクーパンのソリューションを手に入れることで、これからどんどん伸ばしていく期待が持てます。
日本2位の時価総額20兆円を誇るソフトバンクGが親玉にいるのは心強いですね。
ソフトバンクGの前回の決算発表は「日本歴代一位のソフトバンク決算発表」をご覧ください。
ソフトバンクGの決算発表では、最新のテクノロジーの紹介もありますのでおすすめです。
Youtubeはこちらから。
・戦略事業
戦略事業ではLINEとの相性がかなりいいです。
特に、2つの分野ではLINEから簡単に使えるので便利です。
・Fintech
※Finance Technologyの略。金融×技術
・ヘルスケア
これからのZHDを分析
決算の内容を踏まえて、今後のZHDを分析します。
期待できるところ
ソフトバンクGの存在
いうまでもなく、時価総額20兆円を持つ資金力は強大です。
資金力だけではなく、ソフトバンクGが投資している「IT企業」と「AI企業」との繋がりも強大です。
他の企業とソリューションを組み合わせることで、さらにいいサービスを作り上げることができます。
ヤフーとLINEの共同
ここまでの話でも、2つの企業はかなり相性がいいことがわかります。
ヤフーの「資金力」や、昔からのサービスで獲得している「年齢層の高いユーザー」。
資金力はないが、メッセージアプリとして圧倒的な存在のLINE。
ただし、ソリューションが発揮されるのは数年かかるので辛抱は必要です。
不安材料
LINEの個人情報の取扱い
ニュースでも大きく取り上げられている個人情報の取り扱い。
不安の声も多いですが、現状、大きな影響はありません。
これだけ普及したLINEが他のアプリに取って変わることは考えにくいです。
しかし、ニュースが出るたびに株価は下がっています。
5年以上の長期投資ができる人であれば、今後数年は株の買い時と言えるかもしれません。
GAFAMの存在
モバイルキャリアやメッセンジャーアプリで地位を確立している国では、GAFAMと全面戦争にはならないことが考えられます。
しかし、各所では戦いを避けられません。
GAFAMとどう戦っていくかも、今後目が離せません。
終わりに
いかがだったでしょうか?
この記事では、現役エンジニアの私が「LINEとヤフーの親会社ZHDの2020年度の決算発表」について解説しました。
独禁法にグレーゾーンともいえる二つの企業の共同。
日本政府が許したのも、世界で戦って欲しいという想いが伺えます。
5年後、10年後に世界で戦っている企業に成長して欲しいですね^^
転職を検討している方は、「転職の手順まとめ」の記事もおすすめです。
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